俺は街中にハナクソを飛ばさないと誓い、君とちゃんとお別れをした
スーパーからの帰り道に、くしゃみを一つ。
あれ、風邪気味かな……?
なんだか鼻がずっとムズムズする……。
いや、これは……ハナクソだ!
ハナクソが詰まっている!
いや、その詰まりが今まさに取れようとしている!
かろうじて鼻の壁にしがみついたハナクソだ!
ハナクソのクソ野郎だ!
今にも壁からその手を離そうとしている!
存在そのものが忌避される不遇の時代に、君はあまつさえ自ら巣を飛び立とうとしているというのか!
なんて気の毒な奴なんだ!
その手を離すことは勇気でもなんでもない。
大人しく君の家に帰るんだ。
俺は街中にハナクソを飛ばすような真似は絶対にしない。
しない、させない、許さない!
君の目論見は失敗に終わる。
なぜなら俺には常識があるから。
俺は急がない。
息が切れてハナクソが飛んでしまうから。
俺は美女を探さない。
鼻息が荒れてハナクソが飛んでしまうから。
俺はスィゅ……
スリットが入ったスカートだと……?
ロングなのに、太ももまで……?
<<中略>>
ふぅ、ようやく家に着いた。
短い間だったが君には感謝している。
素敵な出会いもあったしね。
でももうさよならだ。
そんなに悲しい顔をするなよ。
俺が悪いみたいじゃないか。
悪いのは俺じゃなくて世間さ。
世間が君と僕が一緒にいることを許してくれないのさ。
飛んでも、飛ばなくてもね。
世間って誰かって?
僕のなかの皆のことさ。
まるでパパラッチ。
どこまでもついて来る。
無駄話もここまで。じゃあね。
また会う日まで。
ズギューン